2015年4月13日(月)より、副院長が産休・育休から復帰することとなりました。
それに伴い、診療担当が変更となります。
午前診⇒副院長
午後診⇒院長
土曜日の午前診については、
第1,3土曜日⇒院長
第2,4土曜日⇒副院長
となります。
患者様にはご迷惑をおかけしますが、あらためまして、なか眼科をどうぞよろしくお願い申し上げます。

緑内障について、よくある質問の続きです。
Q. 血圧と眼圧は関係しますか?
A.
関係はありません。普段から血圧が高いからといって、眼圧が高くなるわけではありません。
Q. 片方の目が緑内障になったら、もう片方も目も緑内障になりますか?
A.
緑内障は多くの場合、両目に起こる病気です。
進行の度合いは左右で違うことが多いので、それぞれの目にあった治療を行います。
Q. 緑内障は遺伝しますか?
A.
緑内障は必ずしも遺伝するものではありませんが、血のつながった方に緑内障の方がいれば、
やはり眼科検診をおすすめします。
Q. 緑内障の治療は、眼圧を下げること以外はないのですか?
A.
眼圧が正常な人も緑内障になることから、緑内障には眼圧以外の原因があることが推測されていますが、
それ以外に確実な原因は分かっていません。
私自身も緑内障の基礎研究や臨床研究に参加したり、
神戸大学病院の緑内障専門外来で診察を行ったりしましたが、
緑内障の病態はまだまだわからないことだらけ、というのが実際のところです。
現状では、世界中どこへ行っても、点眼薬や手術などにより眼圧を下げることが
唯一の確実な治療法なのです。
処方された点眼を毎日忘れずに行い、定期的な通院を続けることが最も重要です。
緑内障について、よくある質問を挙げてみました。
緑内障があると言われて、心配にならない方はいないと思います。
わからないことは、診察の時にもどんどん聞いてくださいね。
Q. 目を使いすぎると、緑内障は進行しますか?
A.
目の使いすぎと緑内障の進行は関係ありません。
テレビ、読書、パソコン…などなど、好きなようになさってください。
Q. 日常生活で気をつけるべきことはありますか?
A.
開放隅角緑内障の場合、毎日の点眼と定期的な通院さえしっかりと行って頂ければ、
特に日常生活での制限はありません。
急性緑内障発作を起こしやすい目の場合は、『急性緑内障発作の予防と治療』の回で
お話したことは気をつけるようにしてください。
またいずれの場合も、食事で特に気をつけることはありません。
バランスの良い食事を心がけてください。
Q. コンタクトレンズは使っても大丈夫ですか?
A.
コンタクトレンズを使っても問題ありません。
ただし、点眼はレンズをはずした状態で行ってください。
緑内障の点眼は1日1回で済むものもあるので、普段コンタクトレンズを装用している方は、
その旨をお伝えください。なるべく負担にならない点眼を考えます。
急性緑内障発作は、『急性』の病気で、症状も激烈ですから、
もし発症してしまったら急いで眼科を受診して、適切な治療を受けるしかありません。
ところが実際は、この発作はどうも夜間に発症することが多いようで、
その時間に診察をしている眼科を見つけ出すのが難しく、治療が遅れてしまうのが実情です。
通常は21mmHg以下が正常といわれる眼圧が、発作時には50~60mmHg程度まで上昇してしまい、
前回ご説明したように、目だけでなく全身的にも症状があらわれます。
眼圧が非常に高い状態が続くと、目の奥にある視神経が一気に傷んでしまい、
残念ながら一夜にして失明、ということもあり得ます。
また一方で、急性緑内障発作は、もともとなりやすい目かどうかがあらかじめわかるので、
予防をすることができるのです。
まず、日常的にできる予防策としては、以下のようなものが挙げられます。
・ 暗い部屋で下を向いて本を読んだり、ものを書いたりしない。
・ 市販の風邪薬はのまない。
・ 医師から処方される眠剤はのまない。
これらは狭い隅角をますます狭くしてしまう作用を伴っているので、注意が必要です。
また、手術を受けることで予防することもでき、これらは日常的な予防策よりも効果的です。
・ レーザー虹彩切開術
茶目(虹彩)にレーザーで小さな穴を開けて隅角が閉塞しにくくする方法。
・ 白内障手術
え?緑内障の発作の予防に白内障手術!?と思われるもしれません。
ここで詳しくお話します。
前回もお示ししたように、緑内障発作は、もともと隅角が狭い目にさらに加齢とともに白内障が進行することで、
水晶体の厚みが増え、ますます隅角が狭くなり、起こりやすくなります。
下の図をご覧ください。
通常の白内障手術を行うと、水晶体の中身を取って、人工の『眼内レンズ』に置き換えます。
(手術方法については『白内障の手術』の回をご参照ください。)
この眼内レンズは、水晶体よりも厚みがかなり薄いので、
隅角が開き、発作が予防できるという仕組みなのです。
レーザーにしても白内障にしても、頻度は少ないですが合併症もあり得ますので、
まずはよく相談してから予防策を考えていきましょう。
急性緑内障発作は、その名の通り、急激に、激烈な症状に襲われる病気です。
同じ『緑内障』という名前でも、『原発開放隅角緑内障』の症状とは全く異なります。
まず急性緑内障発作は、もともとの目の形の違いから、
発作を起こしやすい人と起こしにくい人に分かれます。
起こしやすい人の特徴として、以下のものがあります。
・ 中年から高齢者
・ 若い頃から視力が良くて、比較的早くから老眼が出てきた
・ 小柄な女性(男性に起こることもあり)
もう一度『緑内障の種類』のときにもお示しした図で説明しますと、
上に挙げた方々は、もともと目の奥行きが小さいので、房水の出口である隅角
(『眼圧』の回をご参照ください)も比較的狭くなっています。
それに加え、加齢とともに白内障が進行することで、水晶体の厚みが増えるので、
ますます隅角が狭くなってしまうのです。
隅角が狭いだけでは何の症状もありません。
房水はきちんと目の中から排出されて、眼圧も正常に保たれます。
ところがある日ある時、この狭い隅角がついに閉塞してしまうと、
房水はつくられるものの排出できなくなり、目の中に房水がたまって急激に眼圧が上がってしまいます。
これを『急性緑内障発作』といいます。
急性緑内障発作の症状は、急激な眼痛、頭痛、目のかすみ、充血、
そのほかには吐き気、嘔吐など、目だけでなく全身にもかなりつらい症状が出てくるので、
はじめは目が原因とはわからないことも多くあります。
先にも述べた通り、急性緑内障発作を起こしやすい人というのは、
もともと目がいい人なので、今まで眼科には無縁だった人がほとんどなのです。
発作を起こしてしまった患者さまが、『目だけは自信があったのに…』
と言われることがよくあります。
なか眼科では、受診された方で発作を起こしやすい目の形をされた方には、
その旨をお伝えし、注意点をお話します。
自信がある目、今はよく見えている目でも、やはり年齢とともに変化が起こっています。
大丈夫、と思っていても、一度眼科受診してみてください。
緑内障とは、眼圧(目の圧力)が視神経(目の奥にある神経)を圧迫するため視神経が傷んでしまい、
知らず知らずのうちに視野が狭くなったり、欠けてしまう病気です。
緑内障のうちで最も多い、原発開放隅角緑内障の治療はどのように行うのでしょうか。
上でも述べた通り、緑内障が進行してしまう第一の原因は眼圧ですから、
まずは眼圧を下げる治療が必要となります。
じゃあもともと眼圧が正常範囲(21mmHg以下)の正常眼圧緑内障の治療はどうするの?
とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
正常眼圧緑内障の患者さんでも、少しでも眼圧を下げることで、進行を防ぐことができるのです。
眼圧を下げる方法としては、点眼治療が中心となります。
緑内障の点眼には、さまざまな機序で眼圧を下げるものがあるので、
それらのうち1種類または複数を組み合わせて処方します。
そして、受診されるごとに眼圧を測定し、眼圧が低く保たれていればそのままの点眼で、
眼圧があまり下がっていない場合には、点眼の変更や追加を考えていきます。
また、定期的に視野検査を行い、視野の進行があるようなら、やはり点眼の変更・追加が必要となるでしょう。
いろいろな種類の点眼を使っても、どうしても眼圧がうまく下がらないときや
視野が進行してしまうときには、手術を考えます。
ただし、この手術も『眼圧を下げる手術』であって、『緑内障を治して視野が良くなる手術』ではありません。
一度視神経が傷ついて、見えなくなってしまった部分の視野は、
残念ながら現在のところではどんな治療をしても元に戻ることはありません。
そして緑内障の治療は一旦点眼で眼圧が下がったから大丈夫!というわけではないのです。
視野をこれ以上進行させず、今の見え方を保つために、定期的な眼圧や視野検査を行い、
適切な治療を続けていくことが重要なのです。
原発開放隅角緑内障は、知らないうちにゆっくりじわじわ視野が狭くなっていくタイプの緑内障です。
視力検査では問題ないし、眼圧も正常範囲であることも多く、痛くもかゆくもない。
ある日、見えにくいと気づいて眼科を受診したときには…緑内障末期であることも少なくありません。
毎年、会社などの健康診断をうけているから大丈夫!
とういう訳にもいきません。
健診の項目に『眼底検査』や『眼底写真』があれば、緑内障の可能性があるかどうか判定できますが、
一般的な『視力』や『眼圧』だけでは、スルーされてしまうこともあります。
というのも、緑内障は末期になるまで視力は良好な場合が多いですし、
日本人に多い『正常眼圧緑内障』では、眼圧は正常レベル(20mmHg以下)なので、
眼圧が正常なら安心、ではないのです。
では、どのように原発開放隅角緑内障を診断するのでしょうか?
キーワードは『視野検査』です。
眼底検査をすると、脳と目をつなぐ『視神経』を観察することができます。
私たち眼科医は、まずその視神経が緑内障に特徴的な形をしているかどうかを診察します。
もし、緑内障に似ている形をしていて、緑内障が疑われる場合は、
確定診断のために『視野検査』を受けて頂くのです。
視野検査をすることで、自覚症状のない非常に初期の段階の緑内障でも検出することができます。
ただし、この検査はかなりの集中力と慣れを必要とするため、確定診断まで数回検査が必要なこともあります。
また、今は視野検査の結果が正常でも、年齢とともに緑内障のリスクは高くなりますので、
定期的な検査をおすすめすることも多いです。
40歳以上の5%の方が、知らないうちにかかっている緑内障。
まずは眼科受診されてはいかがでしょうか。
白内障は、お年とともに誰しもがなるものです。
それに対して緑内障は、皆さんがなるものではありません。
けれども、40歳以上の約20人に1人は緑内障であるというデータがあり、
決してめずらしい病気ではありません。
これからは数回にわたって、緑内障についてお話しましょう。
緑内障はいくつかの種類にわけられています。
難しい名前ばかりですが、一つずつ説明しますね。
① 原発開放隅角緑内障
一般に多い緑内障のタイプです。
目の中の水(房水)の出口である隅角(下の図の赤く示したところ)は広いので、
この名前がついています。
眼圧上昇は軽度で、進行のスピードも通常はゆっくりです。
眼圧が正常レベル(20mmHg以下)である『正常眼圧緑内障』もここに含まれ、
最近では日本人に多い緑内障のタイプとして注目されています。
② 原発閉塞隅角緑内障
房水の出口である隅角がもともと狭いタイプの緑内障です。
狭い隅角があるとき閉塞してしまうと、急激に眼圧が上がることがあり、
これを『急性緑内障発作』といいます。
③ 続発緑内障
目のケガ、炎症など他の原因のために眼圧上昇がおこるタイプです。
ステロイドの内服や点眼もその原因のひとつとなります。
④ 発達緑内障
子供のときから眼圧が上がるタイプです。
次回からは、主に原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障についてよりくわしく説明しましょう。
眼科ではよく、視力と眼圧を測ります。
『視力』は学校健診などで馴染深いとは思いますが、
『眼圧』とは一体どういうものなのでしょうか?
眼圧とは文字通り、眼の圧力です。大人になってからの健診で、目に風がプシュッとあたる検査で測定します。
目の中には、『房水(ぼうすい)』と呼ばれる、水の循環があります。
これは目の表面にある涙とは別のもので、目の中に栄養などを運ぶ役割があります。
房水は毛様体(もうようたい)というところ(図の①)でつくられ、
シュレム管というところ(図の②)から排出されます。
目の形はこの房水の圧力によって保たれていて、この圧を眼圧といいます。
眼圧の正常値は21mmHg以下とされています。
眼圧が高い場合、その圧力で目の奥にある視神経(図の③)を圧迫して、
視神経が傷んでしまうなどの障害が出てきます。これが緑内障です。
緑内障になっていても、初期のうちは特に自覚症状はないことがほとんどなのです。
では、その緑内障とはどんな病気なのか、次回から説明していきたいと思います。